斜里から見える山は美しい〜タンネウシ3月号

斜里から見える山は美しい

合地 信生

斜里町側から見た斜里岳

知床半島の山並みは美しく人気があり、また斜里町には日本百名山の斜里岳と羅臼岳があります。

JR釧網線で網走からの列車に乗り、斜里川の鉄橋から富士山型の斜里岳を見ると斜里に帰ってきたと感じます。斜里岳は今から28万年前に最後の噴火があり、現在の山体を作りました。斜里岳は薄い溶岩と火山灰でできていることから、浸食が進みやすく険しく深い谷が形成されています。登山道沿いには、火山内部の岩脈が露出し多くの滝があります。そのため、尾根と谷の形が複雑になり見る角度によりイメージが異なります。斜里から見ると、斜里岳本峰ともう1つの峰である南斜里岳が重なり、また稜線も左右対称のバランスのとれた独立峰に見えます。標津町側から見た斜里岳は高い峰が2つあり独立峰とは異なる姿になります。

国道334号線の美斜線で、小清水方面から斜里に帰って来ると正面に海別岳が迎えてくれます。海別岳は50万年前に最後の噴火がありました。斜里岳に比べ古い山なのに、斜里側にあたる北西方向に厚い溶岩を噴出しているため浸食が進んでおらず、斜里から見るとなだらかな形をしています。溶岩の流れていない南東側は、浸食が進み山が欠けています。昔から険しい斜里岳を「お父さんの山」、やさしくなだらかな海別岳を「お母さんの山」と呼んできました。

羅臼岳から知床硫黄山にかけての知床連山は、知床五湖からの湖に浮かぶ風景が人気の写真ポイントとなっています。知床連山はどの山も新しく、数万年前に溶岩をやはり北西側にあたる斜里側の海岸まで流し、岩尾別台地と断崖を作りました。羅臼側にも溶岩を流しましたが量が少なく、山の中腹までしか流れていません。そのため、溶岩が流れる前の浸食が進んだ地形を斜里側は溶岩のベールで覆い、なだらかな山体になっていますが、羅臼側では覆いかぶさらず険しい山体になっています。知床峠でも斜里側の道路はゆっくりしたカーブですが、羅臼側は急カーブが続きます。
斜里から見える山が美しいのは自然の偶然でしょうか。海別岳、知床連山に見られるように新しい溶岩は北西側にあたる斜里側で噴火し、溶岩のベールで覆っています。十勝岳でも北西側で噴火するという同じ傾向があり、北海道の火山の特徴かもしれません。これからの調査が期待されます。

タンネウシ3月号(表面)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タンネウシ3月号(裏面)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三浦

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