肉眼で彗星を見た!〜タンネウシコラム8月号

肉眼で彗星を見た!

村上 隆広

ネオワイズ彗星(斜里町内から合地信生学芸員撮影、2020年7月17日)

とても明るい彗星
この7月に、明るい彗星がみられました。ニュースなどでも報じられたネオワイズ彗星です。斜里は夜空がきれいなので都会に比べると条件が良いですが、それでも肉眼で彗星がみられることはめったにありません。知床博物館でも急遽7月16日に観察会を開き、約30名の方に参加いただきました。双眼鏡では長くのびた尾も観測できました。彗星を初めて見たという方や小学生もたくさんいました。私が初めて見た彗星を思い返すと、1986年に地球に接近したハレー彗星です。ハレー彗星は76年周期で、紀元前から目撃された記録が残っており、ときに肉眼で見られるまで明るくなったようです。残念ながら1986年は予想より明るくならず、ぼんやりとした姿を望遠鏡でなんとか見た覚えがあります。その点、ネオワイズ彗星が肉眼で見られたのは幸運でした。

彗星のふしぎ
ところで、彗星は「汚れた雪だるま」にたとえられることがあります。本体のほとんどが氷で、ほかに塵(ちり)などが含まれているためです。太陽に近づくと氷が融けて塵と一緒に広がり、尾が光って見えるのです。太陽から遠ざかるときはまた尾が小さくなります。こうして太陽に近づいてくる彗星はどこからやってくるのでしょう。海王星~冥王星までの間にある氷が多いところや、もっと遠くで光の速さでも数か月から1年かかる場所という説が有力ですがはっきりとわかっていません。いずれにしても、ネオワイズ彗星の周期は6,800年と計算されています。前回現れたころは縄文時代、次に現れるのは6,800年後、実に壮大な旅です。

次は流星をみましょう
彗星は流星とも関係の深い天体です。流星は宇宙空間にある塵が地球の引力に引き付けられて大気圏に落下してきたもの。ほとんどは地上に達するまでに燃えつき、流星として見られます。彗星が通り過ぎたあとには多くの塵が残されるので、そこを地球が通り過ぎると流星がまとまってみられることがあるのです。ペルセウス座流星群は、スウィフト・タットル彗星が残していった塵の中を地球が通り過ぎるころに毎年見られます。今年は8月12日ころが最大と予測されていて、知床博物館で観測会を予定しています(表面参照)。よろしければご参加ください。(今回のような急なイベントは、LINEで発信することがあります。受信希望の方は知床博物館公式アカウントにご登録ください。)

タンネウシ8月号(表面)
タンネウシ8月号(裏面)

横山

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