アカトンボの季節です。〜タンネウシコラム10月号
アカトンボの季節です。
松田功
立秋も過ぎ、日の出の時刻は遅く、日の入りは早くなってきました。夕焼けの茜色も一層増し、秋の風情が漂ってきています。
秋といえば、童謡の赤とんぼやちいさい秋みつけたなど思い浮かべる人も少なくないでしょう。今回は秋の季語にも使われるアカトンボについて調べてみました。
アカトンボとは
狭い意味ではアカトンボというのはアキアカネという種類のみを指しますが、赤いトンボは他にも色々な種類がいます。広く捉えればトンボのアカネ属(Sympetrum属)の仲間のことを指します。アカネ属は世界では約50種が記載され、日本では21種が記録されています。
ただ、アカトンボといってもアカネ属の中には体が青いナニワトンボなどがいますし、一方で、体が赤い他属のハッチョウトンボなどもいて、赤いものが全てアカトンボと一言で片付かない側面もあります。
斜里でよく見かけるアカトンボはアキアカネ、ノシメトンボ、ミヤマアカネなどで、ノシメトンボなどは羽の先が黒く帯をなしていることでアキアカネと区別することができます。
アカトンボが赤くなる仕組み
ところで、アカトンボがなぜ赤くなるのか。皆さんは知っていますか。アカトンボは初め若い個体の時、体色は黄色なのですがそれが後に成熟すると赤く変化するのです。
この変化について解明した産業技術総合研究所の研究グループの報告によると、アカトンボの仲間(研究ではアキアカネ、ナツアカネ、ショウジョウトンボ3種類を使い調査した)ではアカトンボが持つオモクローム系色素(キサントマチンと脱炭酸型キサントマチンの2種)が還元型になることによって、体色が黄色から赤色に変化することが判明したとのことです。
少し難しい話になりますが、還元型とは酸化還元という化学反応の一つで、物質間での電子の受け渡しの時、酸化される物質は電子を放出し、還元されるものは電子を受け取る仕組みになっているようです。
つまり、アカトンボは成熟する際にオモクローム系色素が還元型の化学反応をし、赤く変色するということのようです。人間も若い時は尻が青く、歳をとるにつれ腹が黒くなるのと似ていますね。
—
平河内
コメントを残す