斜里町農業資料等収蔵施設 〜タンネウシ8月号
阿部 公男
斜里町農業資料等収蔵施設と聞いてピンとくる方は少ないかも知れません。この施設は「斜里農業発祥の地」と言われる朱円地区の旧朱円小学校校舎を再利用し、平成31年度に設置されました。博物館には多種多様な資料が寄せられ収蔵していますが、農業資料等は大きなものも多く、以前は町内の倉庫等に分散して収蔵され、個々の資料の調査や活用が容易でない状況がありました。そこで、これらの資料を一か所に集約し活用がしやすい資料収蔵を進めるため、旧朱円小学校を活用し、資料の受入れから点検、登録、収納、公開、活用など将来の利用を想定した整備を進めてきました。平成31年度に分散された施設からの資料集約を進め、令和2年度からは見学会も始めましたが、資料の雑多な配置や不要物、休憩スペースやトイレなどの課題があり、本年度春からは、観覧ができる収蔵施設を前提とした整理を行ってきました。
博物館には展示室などの公開スペースと収蔵庫などの収蔵スペースがあり、前者は普段から見ている博物館ですが、後者は収蔵する資料の清掃や点検、調査などを行いその情報をアーカイブし解説や研究者の利用に寄与したり、清掃、整備した資料を保存するスペースとして活用されています。農業資料等収蔵施設では後者部分を見てもらうため、職員室には斜里農業の歴史や開墾、耕土、播種、育成、収穫、加工、製品という一連作業がそれぞれの家庭で行われていたころの様子を紹介し、2階の教室では文書資料の収蔵のほか、点検及び登録作業を行う部屋の見学もできるようにしています。そして体育館では、斜里の農業を開拓期から支えてきた馬を中心に馬車や橇、土耕プラウや砕土ハロー、畝立て機やビートリフターなどの大型機具をはじめ、人力による噴霧器や肥料播き機、鍬や鎌、斧や鋸などを多数見学できるよう整備を行いました。現在では、小麦や馬鈴薯は収穫後でんぷん工場や製粉工場などへ出荷され、そこで加工されたものが商店に並び、これを購入し食品として調理していますが、以前は全ての工程を個々の家庭で行っていたことがわかります。
一般の展示施設ではないので、細かな説明や名前の表示なども多くありませんが、公開時には是非ご来館ください。
コメントを残す