神の子池の青さの秘密〜タンネウシコラム9月号

神の子池の青さの秘密

合地信生

神の子池(2014年10月16日撮影)

摩周火山の外輪山のふもとにある神の子池の神秘的な青さを目にした方も多いことでしょう。道内では美瑛の青い池も有名で、こちらも人気の観光スポットです。今回は、神の子池がなぜ青く見えるのかについて考えてみましょう。

色のひみつは光の反射と吸収

光は水の中に入ると、波長の長い赤や橙色が水に吸収され無くなり、深くなるにつれて黄、緑が順に無くなり、さらに深くなると波長の短い青や紫が残ります。しかし、人間の目は紫色には鈍感なので、最終的には青色に写ります。透明度の高い遠浅の海の場合、青色に黄色や緑が残った色が白色の海底に反射し、エメラルドグリーンとなり、また、深い場合は青色だけが残りコバルトブルーになります。つまり、水が青く見えるためにはある程度の深さが必要ということです。

ところが、美瑛の青い池や神の子池は水が青く見えるには深さが十分ではありません。美瑛の青い池の場合、湧水に水酸化アルミニウムなど、白色系の微粒子が含まれ、それが波長の短い青色を錯乱していると言われています。湧水によって微粒子が激しく動くことで、ありとあらゆる方向へ光が散乱し、その結果青色が多く目に入るため、浅い場所でも青く見えるようです。

きれいな水と白色の水底

水が青く見える条件は深さや光の錯乱だけではありません。水底の色や透明度も関係します。例えば、きれいな青色の地中海や沖縄の海は、それぞれ石灰岩やサンゴで水底が白く、水も混じり気がなく透明です。

神子の池は白色をした細粒の屈斜路火山の火砕流が堆積した場所に透明な地下水が湧き出ています。この湧水は白色の火砕流の間を通っていますので火砕流中の微粒子を含んでおり、1日12,000tの湧水が狭い場所から出ており、池の底が波打っています。多量の微粒子がそこでは激しく舞っていることでしょう。そのため微粒子がある湧出場所だけが浅いにもかかわらず青く見える、というわけです。

このように神の子池の青さには、透明な湧水、白色の水底、微粒子動きによる光の錯乱の3つの要素が関係していると考えられます。

みなさんも神の子池に行かれる際はこれらを思い出して、付近の地質と地形にも注目してみてください。

タンネウシ09月号表
タンネウシコラム09月号裏

平河内毅

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