北海道胆振東部地震は直下型地震?〜タンネウシ10月号

北海道胆振東部地震は直下型地震?

合地信生

図. 主な地震の種類

 

 

 

 

 

 

 

 

昨年の9月6日に発生した北海道胆振東部地震から1年がたちました。この地震の震源の西側には南北方向に延びた石狩低地東縁断層帯があり、この断層が走る札幌市も被害が大きく、報道では断層と関係が深い直下型地震と考えられています。しかし、本当に直下型でしょうか?

地震の種類
地震は生じる場所により、次の3つのタイプに分けられます(図)。
(1)直下型地震:地表付近の断層直下で起きるタイプの地震です。地表から震源までの距離が近いので大きな被害が生じます。例えば阪神淡路大震災では深さが16 km、熊本地震では深さ11 kmと、直下型地震は10 km前後の浅い場所で生じています。
(2)深発地震:直下型とは異なり、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込んだ約100 kmの深さで生じます。震源までの距離が長いため、地震波が地表に届く頃には弱くなり、比較的被害が少ない傾向にあります。釧路沖地震は深さが101 kmでマグニチュードは7.5でした。
(3)海溝型地震:最も恐ろしいのはこのタイプの地震です。海洋プレートは海溝で横の移動から斜め下へと方向を変えて沈み込みますので海溝付近では歪が溜まり、規模の大きな地震が生じます。震源も深発地震と比べると浅く、東日本大震災では24 kmでマグニチュードは9.0でした。関東大震災もこのタイプです。震源は30 km前後の深さになります。

北海道胆振東部地震はどのタイプ?
本震の震源は37 kmと直下型よりも深く、石狩低地東縁断層帯の東にずれています。また多発した余震の震源は石狩低地東縁断層帯と平行に分布しており、震源の深さは西に行くほど浅く、東になるほど深くなっています。そのため石狩低地東縁断層帯から東へとプレートが沈み込んでいると考えられます。つまり、深さと震源の分布から見ると、直下型よりも海溝型に近いのではないでしょうか。海溝型地震は図のように通常は海面下の現象ですが、今回の北海道胆振東部地震は過去に海面下であった海溝型地震の地形が陸化し、動いたと推察されます。

海溝型地震の地形と北海道の形成
こうした過去の地震の痕跡は、北海道の生い立ちを考える上でも重要な要素です。北海道は襟裳岬から宗谷岬を境に、それぞれ生い立ちの異なる西のブロックが東のブロックの下に沈み込み、かつて海溝だった部分は現在でも低地のままの可能性があります。昨年の地震分布圏であった石狩低地帯はこの東西衝突の時の海溝跡を示しているのかもしれません。

タンネウシ10月号(表面)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タンネウシ10月号(裏面)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三浦

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