国後島より大きい阿寒摩周知床火山列 〜タンネウシ11月号

合地信生

 知床半島は火山活動で生まれました。火山が直線上に連なる知床半島から雌阿寒岳までを1つのグループとして「阿寒摩周知床火山列」と呼ばれています。そしていろいろなタイプの火山があります。

 火山活動が活発なのは列の端に近い火山で、北東側の知床硫黄山と南東側の雌阿寒岳です。そのうち大規模な火砕流でカルデラが生まれるのは、海溝に一番近く、沈みこむプレートから大量の水が供給される南西側の火山です。また火山列の中央部には活火山がなく、斜里岳や海別岳など火山活動を停止した古い富士山型の独立峰火山があります。図1のように3つのゾーンに分けられ、火山群の北東端から南西方向へとカルデラを伴わない活火山、古い独立峰火山、カルデラを伴う活火山が並んでいます。国後島の火山列でも同じ様な火山の配列が見られ、道東地域の火山活動の特徴を示していると思われます。

 このような特徴的な火山配列のでき方について推察してみましょう。火山は地下にマグマがあり、地上までの割れ目が生まれるとそこをマグマが上昇して噴火します。最初の段階では割れ目が中央部付近に限られていた可能性があります(図2)。時がたつと、割れ目が広がり、中央部の外側に新しい火山が生まれたと思われます(図3)。

 中央部に近い摩周火山やアトサヌプリ(川湯硫黄山)ではすでに斜里岳のような古い火山がありました。そこに新しい火山活動が始まり、古い火山を吹き飛ばして大量の火砕流が流れ、道東の大地を作りました。噴火の後には大きな屈斜路カルデラや摩周カルデラが生まれ、藻琴山は古い火山がカルデラの外輪山として半分残った山です。そしてこれらのカルデラゾーン外の北東側に位置する裏摩周から中標津にかけては丘陵地形で古い火山が今も残っています。

 知床半島には火山列の半分ほどの火山しかありません。南西端の雌阿寒岳まで入れて初めて国後島と比較ができます。知床峠から国後島を望むと知床半島よりずっと大きいと感じますが、阿寒摩周知床火山列の方が約1.3倍もの長さがあります。

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