斜里川の東西で異なる砂丘の砂〜タンネウシ3月号2025
合地 信生
砂丘と湖
網走から峰浜までオホーツク海沿岸には砂丘が作られており、砂丘の内側には藻琴湖、涛沸湖、涛釣沼などの湖沼があります。斜里平野もかつては湖でしたが客土され、現在は平野になっています。
砂の大きさと色
網走から斜里にかけての沿岸流は西から東に流れており、砂丘と湖沼を作りました。沿岸流を川に例えると上流にあたる西の網走付近では砂丘の粒子は粗く、下流にあたる東の斜里付近では粒子は細かくなっています。
また、斜里川から西の砂丘は白色ですが、東の砂丘は薄茶色をしており、 より細粒になっています。網走と斜里の間に位置する小清水原生花園の砂は汚れていなく、こすれる粒子の大きさが丁度良いので「鳴り砂」として全国鳴砂ネットワークに登録されています。 ちなみに粒子が粗粒になると低音になり、細粒になると高音になります。
砂の供給地
斜里川を境に砂丘の砂が変化する原因を調べました。砂丘の砂は南の大地にあったものが川で流されオホーツク海に供給されました。西側の砂丘の南には、3 ~ 12 万年前に噴火した屈斜路火山の火砕流台地があります。特に小清水台地は火砕流の塊です。東側には28 ~ 50万年前に噴火した斜里岳や海別岳の溶岩が分布しています。
砂の分解と着色
火砕流や溶岩は長年の風化作用で長石やガラスの部分が分解して粘土になり、そこに植物が堆積し、黒色の土壌になります。最近噴火した火砕流が源の砂丘は土壌化が進んでいなく、長石などの結晶がそのまま残り、白色をしています。一方、古い時代に噴火した溶岩が源の砂丘では土壌化が進み、 結晶は分解して小さくなり、また結晶 の表面には酸化した鉄粒子や植物の炭化した粒子が付着し、茶色から黒色をしています。
斜里川は溶岩が源の幾品川水系と、火砕流が源の斜里川本流が下流で合流しています。斜里川は溶岩と火砕流の両者を流し、斜里前浜の砂丘には薄茶色の砂が火砕流の砂といっしょに堆積しています。雪がなくなる季節に、鳴り砂の可能性の高い川向かいの白い砂丘の砂と、薄茶色に着色した前浜のを見比べてみましょう。
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