斜里町いきものトピック3選〜タンネウシ9月号2025
臼井 平
東1号排水路で新たに4魚種発見!
斜里高校との調査で
過去の調査で、サケやワカサギの大量遡上のほか、ヤマメやアメマスなど、様々な魚種の生息を確認できた東1号排水路ですが(2024年2月タンネウシNo.386 参照)、先日、斜里高校の生徒たちとの調査で、新たにウキゴリ、イトヨ、フクドジョウ、ヌマガレイの4魚種とモクズガニを確認しました。
特に、今回捕獲したイトヨは、いずれも婚姻色が出ており、メスは抱卵していました。水路には多数の水草が繁茂していることから、排水路内で産卵していると考えられます。
前回の調査で確認されていなかったヌマガレイとモクズガニは海水と淡水が混じり合う「汽水」を好む性質から、もしかすると満潮により排水路へ海水が上がってきたタイミングで入り込んできたのかもしれません。
ウキゴリとフクドジョウが、今回の調査で突然捕獲できたのは謎ですが、 東1号排水路は複数の河川や水路と連結しているため、遠くからやってきたのかもしれません。排水路内の魚たちは住みよい環境を求めて案外ダイナミックに移動しているのかもしれませんね。
イワウベツ川の魚にマイクロチップ
より詳細な調査へ!
世界遺産地域を流れるイワウベツ川でダムが魚類に与える影響を調べ始めてから今年で4年目を迎えました。ダムの上流と下流で魚類の生息密度が大きく異なっている事や、徐々にダムが撤去・改良されていく様子は、過去のタンネウシで何度か紹介してきましたが(例えば 2023年2月タンネウシ No.374)、来年秋についに魚の移動を妨げていた最後のダムが改良されます。
この改良により「理論上」、魚はダム上流へ移動できるようになるはずですが、実際の効果検証は必要不可欠です。そこで、今年度から採集した魚類の腹部に個体識別番号を記録したマイクロチップを埋め込んで今後の移動を観察する予定です。
これにより、ダムが改良されたのちに、どういった魚種や、大きさの魚が遡上できているのか(もしくはできていないのか)が詳細に解るようになります。加えて、調査を続けていくことで河川内での魚の移動や成長率、寿命なども見えてきます。
魚類の遡上は餌として利用する野生動物にとっても大きな恩恵となります。ダム改良に期待を抱くのは我々だけではなさそうです。
ワシ舎にトビいます(ワシじゃないよ)
網走市卯原内で保護
すでにお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、オオワシ・オジロワシが亡くなって以降、長い期間空室になっていたワシ舎でトビを保護しています。
このトビは今年の6月14日に、私が休日に網走市卯原内へ山菜取りへ出かけている道中で発見しました。
左翼が垂れ下がり、道路脇でぐったりしていたため、車との衝突事故と思われます。しばらくエサも食べていないのか体はかなり痩せていて、目の下には吸血して膨れ上がった大きなダニがついていました。
鶏肉と人間用の経口補水液を与えて1週間ほどで、自発的にエサを取れるように なったため、ワシ舎に入れて放鳥できるか経過観察をているところです。名前は「 ビートさん」当館職員命名)」です。※現在、放鳥のタイミングを見計らっていますので、見たい方は早めにご覧ください。


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