斜里町農業資料等収蔵施設 春の一般公開レポート〜タンネウシ6月号

阿部 公男

斜里町農業資料等収蔵施設では、 農業や関連産業に関する資料のほか、 民俗資料や歴史文書など幅広い収蔵を進めています。また、施設の一部を活用した展示会や講演会、物品の販売等での利用も可能としており、これらも合わせ、利用の拡大、促進を期待した取り組みを行いました。

収蔵庫の公開
 知床博物館では、前身の資料館時代を含め50年を超える長期間にわたり収集した貴重な資料を収蔵しています。
 しかし、その多くは展示の機会が少なく利用者の目にはつきません。そのため、ロビー展などで紹介していますが、大型の資料や一連でお見せしたい資料などは、スペースの関係などから見ていただけない状況にあり、これらを解消するため、収蔵庫全体を公開し、収蔵品を観覧してもらうことのできる施設として整備を行ってきました。
  現在は、元の職員室と体育館に、 馬と共に発展してきた開拓期から昭和30年代までの農業及び関連産業の資料を、当時の生活が感じられるよう工夫して展示しています。今後は、廊下や2階のスペースを整備し、収蔵品の清掃や修復、調査の様子と整頓された資料の収蔵を見ていただけるよう展示を充実したいと考えています。

施設利用促進の試み
 今回の一般公開では移動展とミュー ジアムカフェを併設してみました。 移動展では、多くの収蔵品の中から蓄音器をはじめ、真空管のラジオやステレオなどの音響機器の展示と解説を行いました。
 今回の展示にあたり収蔵品を詳しく確認したところ、ニッポンノホン35 号 という、明治43年に日本で最初に生産された蓄音器や、明治44年に発売されたユーホン1号など、非常に貴重な機材があったことが分かりました。
 また、クリーニングや修復により稼働するようになった蓄音器や真空管アンプを使いアナログレコードの演奏を行い、ミュージアムカフェのお菓子やコーヒー と共に楽しんでいただき、ゆったりとした時間を過ごしてもらうことで、来館者の滞在時間が延び、収蔵庫の観覧時間も大幅に拡大したことが分かりました。
  そこにいることが心地よいと感じてもらえる取り組みにより、大きな効果が ありました。

博物館支援者への感謝
 これら来館者に楽しんでいただく取り組みは、施設の整備や展示に理解と協力をいただいた方々の支援で実現しました。分かりやすいキャプションや展示パネル、展示解説用のイラストを作成をしてくれた方や来館者がゆっくり休めるカフェを担当してくれた方など沢山の方の支援に感謝しています。今後も支援者の皆さんとの連携により、より充実した取り組みが進められるよう努めていかなければと感じた春の一般公開となりました。

タンネウシ6月号表面
タンネウシ6月号裏面


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