「大標本展」の見どころ〜タンネウシ9月号2024
臼井 平
圧倒的な生物標本数
知床博物館には開館から約50年の間に町内外から採集された、多数の生物標本が集積されています。
展示室で普段見ることのできる標本は、展示スペースの都合上、選別したものに限られていますが、標本庫の棚やメタルラックには、ぎっしりと仮剥製や毛皮、昆虫などの標本がぎっしりと保管されています。
今回の特別展では、このような「普段は見ることができない標本」を中心に、展示をしていきます。
特別展の見どころ①
標本たちのストーリー
通常、博物館では剥製などの標本を展示する際には、「生態」や「分布」の解説をキャプションに記すことが ほとんどかと思います。しかし 、今回の特別展では、標本たちが博物館に収蔵されるに至る「物語(ストーリー)」を主に解説に記していきます。
交通事故で死んで拾われたもの、電線に触れて感電死したもの、飼い猫がくわえてきてしまったもの、地元の 斜里高校の生徒たちと一緒に標本化したもの…などなど、それぞれの標本にまつわるストーリーは場所・日付・採集された理由、どれひとつ同じものはなく、実にさまざまです。
こうした、ストーリーを読み進めていくと、野生動物たちの素顔や、知床の豊かな自然、そして知床が抱える環境問題が見えてくるかもしれません。
特別展の見どころ②
多様な生物標本
知床博物館に収蔵されている標本の種類は剥製、骨格標本、液浸標本、乾燥標本など多岐にわたります。展示するため、保存するため、分析をするため、魅せるため、腐敗や大きな破損があったから仕方なく… などなど 、 いろいろな目的や採集した際の生物の状態などに合わせて標本は製作されています。
普段、野生動物と遭遇したとしても羽や顔や手足などを間近でじっくりと観察する機会にはなかなか恵まれませんし、羽や毛皮の内側の骨まで観察することはありません。時間と興味が尽きるまで 、じっくりと標本を観察して魅力を感じてください。
特別展の見どころ③
イラスト&マンガでつづる
標本にまつわるエピソード
特別展を誰にでも楽しんでもらうために、標本やその生き物についてのさまざまなエピソードをイラストやマンガで紹介します。
展示されている標本の裏話、野生動物たちのエピソード、学芸員の奮闘記…等々、魅力的なストーリーが満載です。これを読むことで知床の自然や、知床博物館の様子が垣間見えるかもしれません。
イラストレーターは、斜里町内在住の絵本作家「 あかしのぶこ 」さんです。野生動物の特徴をとらえながらも温かみのある絵は、とても心に残ります。
イラストに出てくる学芸員たちも、実物よりもずっと魅力的に描かれているかも?ぜひ、会場でご確認ください。
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