JUKE BOX(ジュークボックス)〜タンネウシ11月号2024

阿部 公男

寄贈されたジュークボックス
 先日、ジュークボックスの寄贈がありました。
ジュークボックスは、小銭を入れて何十枚ものレコードの中から好きな曲を選択して演奏を聞くことのできる装置で、有線放送や家庭用音響機器が普及していなかった1960年代後半から国内で流行しました。
 農業資料等収蔵施設(旧朱円小) には、日本ビクター製の JB-3100 という機種が収蔵されていて、今回寄贈されたものは、これと同型のものです。
 この機種は、1970(昭和45)年頃に発売され、EPレコード50枚(100曲) を格納し、100 円で4 曲を選択して聴くことができ、1988(昭和63) 年頃まで本町にあった喫茶ナポリで使用されていました。

開発と流行
 ジュークボックスの開発は、19世紀末のアメリカで始まり、1920年代にレコードを選択できる装置として成功しました。その後1950年代になり、軽く丈夫な塩化ビニール製 EPレコードの採用により全米に広がり、音楽やダンスを楽しむために集まる 遊興施設で人気となりました。
 当時の映画ではジュークボックスが鳴り出すと場面が盛り上がったり、しんみりしたりするシーンが良く使われ、若者文化への浸透が分かります。 日本では、米軍基地で人気だったものが1960年代のロカビリーブームで全国に広がり、観光地のホテルや旅館、ゲームセンターやボウリング場などに設置されました。
 斜里町内でも、喫茶店やスナックのほか、ボウリング場やホテルでも見ることができ、エースボウル(現在のビッグマートみたに)や加納ビル(現在の斜里工房しれとこ屋)に置かれていたのを覚えている方も多いのではないでしょうか。

アナログ音源と魅力
 スマートフォンなどのデジタル機器で、好きな曲を好きなだけ聞ける現在ですが、音楽業界ではアナログ音源が見直され、CDの生産中止やアナログレコード復刻の話題も多くなっています。
 アナログ音源は、全身で感じる重低音の振動や柔らかく温かみのある高音、パチパチと聞こえるノイズや解像度が低く少しぼやけたところまでも魅力と言う人もいるほどで、農業資料等収蔵施設の一般公開で行われるアナログオーディオ演奏とコーヒータイムは人気があります。
 ジュークボックスの魅力は、このアナログ音源の持つ懐かしい響きや手書きのタイトルカードのほか、その場にいる者が音楽と時間を共有し、協調性や一体感を感じられる事だったように思います。
 今は動かないジュークボックスですが、人々に至福の時間を提供してくれた魅力ある音響機器には改めて惹かれるものがあり、感慨深くもありました。

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タンネウシ11月号表面
タンネウシ11月号裏面

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