はるかかなたからようそこ斜里へ〜タンネウシコラム7月号

「はるかかなたからようこそ斜里へ」

村上隆広

コンクリート橋でひなを育てるイワツバメ(2010年8月撮影)

斜里川で子育て

このところ斜里川の河口でイワツバメたちがよくみられます。腰が白いのがイワツバメの特徴です。アマツバメという似た姿の鳥もいますが、こちらはイワツバメとはまったく違う仲間の鳥です。スズメ大のイワツバメよりひとまわり大きいので、慣れると簡単に区別できます。

イワツバメは名前のとおり本来は岩の崖に巣作りをする種類です。しかし今はコンクリートの建築物を利用することが多く、都市部までふくめて全国的に身近にみられるツバメです。斜里川ではコンクリートの橋の下に巣をつくり、子育てをします。今年は5月はじめに河原の泥を口で集めている姿がみられ、6月には飛びながら餌をとっては巣に運ぶ様子が観察されました。この原稿が出るころにはすでに子育てを終えているかもしれませんが、イワツバメは年に2回繁殖することが多いので、また姿がみられることでしょう。上の写真は、2010年夏に撮影したものですので、2回目の繁殖と思われます。

小さな体で7,000 kmの旅

イワツバメはアフリカやユーラシア大陸などに広く分布します。ヨーロッパのハンガリーで繁殖するイワツバメに、位置測定器(日の出、日の入時間から位置を測定)をつけた研究では、アフリカまで4,000 – 7,000 kmの渡りをしていたそうです。しかも春の渡りは速度が速く、平均で1日800 kmも飛行していたとのこと。あの小さな体でそんな長距離を飛べるとは驚きです。日本でも南部で少数が繁殖するほかは夏鳥なので、斜里でみられるイワツバメたちは、はるか遠くからやってきているのかもしれません。

地球温暖化で渡りに変化?

長距離を飛んでくるパワフルなイワツバメですが、気になる話があります。長年イワツバメを研究しているいくつかの地域で、渡りの時期が早まっているのだそうです。多くの鳥たちにとって、渡りをするタイミングは気候の影響を受けます。研究者たちは地球温暖化の影響でタイミングが早まっているのではないかと懸念しています。イワツバメの渡りの時期が早まると、昆虫の少ない時期に飛来してきてしまう可能性があります。すると、ヒナを育てるのに十分な餌が得られないかもしれません。斜里川を訪れる時期やいなくなる時期もこれから注意してみていきたいと思います。

タンネウシ7月号表
タンネウシ7月裏

平河内

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