ヒメクビワカモメが現れた!〜タンネウシコラム4月号

ヒメクビワカモメが現れた!

村上 隆広

ヒメクビワカモメ(左が成鳥、右が幼鳥)

カモメで有名な斜里
斜里に住んでいる方にはほとんど知られていませんが、野鳥愛好者にとって斜里はカモメで有名な場所です。カモメといっても1種類ではなく、オオセグロカモメ、ウミネコ、ユリカモメ…と数多くの種類がいます。斜里ではたくさんの種類のカモメが見られ、中にはとても珍しいカモメの仲間がいるのです。野鳥愛好者は珍しい種類のカモメを探しに遠くから斜里を訪れ、中でも憧れの的となっているのがヒメクビワカモメです。

北極圏の鳥
ヒメクビワカモメは体長30 cmほどの小型のカモメで、日本以外でも観察の難しい鳥です。なぜなら、年間を通じて北極圏周辺に生息しているからです。過去の調査結果によると、6月に北極海に面するロシア北部などで繁殖し、繁殖が終わる7月ころに北極に近い地域に移動するそうです。その後海氷の動きにあわせて各地に移動して、時としてオホーツク海の北海道付近でも見られることがあります。斜里での何例かの記録では、流氷が来る直前に現れ、流氷接岸とともに観察されなくなっています。現れない年もある上に現れても年に数日なので、なかなか目撃するチャンスがないのです。

ヒメクビワカモメが現れた!
私もいつかこのカモメを見たいと思っていましたが、なかなか機会に恵まれませんでした。そんな折、今年の1月末に野鳥の研究をしている知人から、斜里前浜で目撃したとの情報がありました。その日に私は斜里におらず、今回もだめだったかとあきらめていました。ところが翌日、より岸に近い場所に再び現れました。今度は私も現場を訪れ、ついに見ることができました。成鳥と幼鳥です。図鑑によると海面でプランクトンや小さな生き物を食べるそうです。見ていると、確かに海面付近で何かを食べているようでした。成鳥は体がほんのりピンク色をしています。目の前を横切る時に、そのピンクがとても鮮やかに見えました。
そのようなわけでようやくヒメクビワカモメを見ることができたのですが、実はまだ出会えていないもっと珍しい種類のカモメがいます。ヒメクビワカモメより記録の少ないゾウゲカモメやアイスランドカモメです。いつか彼らに出会える日は来るのでしょうか。

タンネウシ4月号(表面)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タンネウシ4月号(裏面)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

横山

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