ホッキョクグマが村にやってきた〜タンネウシコラム3月号

ホッキョクグマが村にやってきた

村上 隆広

氷の上を歩くホッキョクグマ

ホッキョクグマの集団が村に!

先日気になるニュースがありました。北極海に面したロシアの村にホッキョクグマが集団で現れたというものです。イタルタス通信の2月10日のニュースによると、ロシア北部のノーヴァヤゼムリャという村に2018年12月から数十頭のホッキョクグマが現れ、そのうち6〜10頭がビルに侵入するなど行動をエスカレートさせているそうです。例年、冬の移動途中にクマが村を通過するものの、今年は村のごみ捨て場に多くのクマが居ついてしまったとのこと。テレビでもごみ捨て場にクマが集まっている様子が映っていたので、ごみの管理に問題があることは間違いなさそうです。しかし、温暖化でエサがとれずに村に近づき、このような事態を招いたとする報道も多くみられました。ノーヴァヤゼムリャは周囲を海に囲まれた人口2,500人程度の島です。昨年までごみ処理を確実にしていたとは思えず、今回村に現れたのはごみ以外にも原因がありそうです。

ホッキョクグマのくらしと温暖化

ホッキョクグマの主な餌はアザラシで、ほかにイルカやセイウチ、トナカイ、鳥、魚、果実も食べます。ホッキョクグマにはこのうちアザラシがもっとも大切なのですが、海氷をつたって近づかないと捕獲しにくいエサです。温暖化によって海氷が減少すれば、アザラシを捕獲しにくくなり、餌不足になりやすいことでしょう。しかし、今回村に現れたのは12月からなので、比較的氷の多い時期のはずです。実際に衛星写真を確認しても、ノーヴァヤゼムリャ附近の海氷が昨年や一昨年に比べて少なくなったようには見えませんでした。しかし、長期間にわたって気候変動を調査しているグループによると、温暖化によって北極海の氷が減少しているのは間違いないようです。1979年から2013年までの35年間で、北極海の9月期の海氷は300万平方キロメートルも減少したとのこと。これは日本の面積の約8倍です。このような海氷の減少によってホッキョクグマの夏の食物が減り、繁殖力が衰えていることが、いくつかの研究によって示されています。慢性的な食物不足とともにごみが容易に手に入る場所だったことが、ホッキョクグマ集団が村に現れた原因だったのかもしれません。

オホーツク海でも氷が減っている

海氷の減少はオホーツク海でも明らかになっていて、気象庁によると1970年以降、10年あたり約6.6万平方キロメートル減少しているそうです。これは北海道の面積の8割くらいにあたります。オホーツク海でも温暖化は着実に進んでいるようです。

タンネウシ3月号表面
タンネウシコラム3月号裏面

平河内

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