ちょっと気になる斜里川のカワウ〜タンネウシ10月号
村上隆広
増えてきたカワウ
哺乳類が専門の私がパソコンで「カワウ」と入力しようとすると「カワウソ」と自動変換されてしまいますが、今回はカワウのお話です。長良川の鵜飼いをイメージされる方もいるかもしれませんが、あれはカワウによく似たウミウなのだそうです。カワウはユーラシア大陸、オーストラリア、アフリカ大陸、北米など世界各地に分布しています。日本では1970年頃まで減少していたのが、その後回復して各地で大規模のコロニー(繁殖集団)が確認されるようになりました。北海道ではまれに記録されるくらいでしたが、2000年頃から少しずつ見られるようになりました。ウミウとよく似ているために、見逃されていたケースも多いと思われます。しかし、近年では北海道内でも各地で明らかなコロニーが確認されています。北海道のカワウは夏鳥で、冬になると本州以南に移動してまた暖かくなるとやってきます。そしてカワウは多くの魚を食べます。本州では個体数が増えてくるにつれてアユなど内水面漁業との軋轢が問題となってきました。北海道内の河川でも魚への影響が心配です。
斜里川のカワウは?
斜里川でも数年前からカワウが増え始め、今は夏に斜里川の河口を訪れるとカワウがよく見られます。斜里川の魚類や周辺環境の調査をしている斜里川を考える会では、3年前のねぐら調査で約300羽を確認しています。カワウの食物は魚が中心で、とくに動きの鈍い魚を食べます。カワウは敏捷なサケ科をあまり食べていないようですが、十分に調査されていません。また数が増えるとねぐらのまわりの木が糞で枯れることもあるそうです。斜里川を考える会では、追い払いなどの対策をしており、一時期よりもカワウの数は少なくなりました。北海道カワウ研究会によると、斜里川に見られるカワウは網走港で繁殖を終えた個体が移動してきているのと、一部網走から通っている個体もいるかもしれないそうです。カワウが北海道に分布を拡げてきた理由はわかりませんが、斜里でこれから数が増えてこないか、分布が拡がらないか引き続き注意が必要でしょう。
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