開館時の情熱を思い出す展示〜タンネウシ7月号

合地 信生

偏光板を使った動く展示
博物館に入ってすぐの地質コーナーには知床の岩石について展示されています。目の高さの位置には、岩石がどの様にして地球内部で作られ循環しているのかを偏光板の動きで示した「岩石の移りかわり」パネルがあります。このパネルは、前面のガラス板に貼られ固定された偏光板と、裏側の回転している偏光板の位置関係でガラス版の偏光板が明るくなったり暗くなったりして動きが生まれます。開館時の昭和53年頃は展示に動きをつけるのが難しく、 このような科学館的な手法を用いました。

プレートテクトニクスの萌芽期
このパネルは知床半島のような海溝付近での火山活動のメカニズムをプ レートテクトニクス(大陸漂移説)の考えで分かりやすく説明しています。今では広く受け入れられている説ですが、当時は否定的な大学も数多くありました。私が在籍した大学は推進派で、北海道のH大学は反対派でした。最初の展示計画は百科事典に掲載された火成岩と堆積岩の地表付近での循環を示すパネルでした。これでは知床の火山活動のシステムを的確に表せないので変更しました。展示業者からも「どの本にも書かれていないが,これで正しいのか?」と何回も問い合わせがあったのを覚えています。おそらく博物館での日本最初のプレートテクトニクス展示だと自己満足しています。その頃の私は大学で学んだ事を新しい博物館の展示に生かしたいと希望に燃えていました。

プレート説の広がり
しかし、当時はテレビや新聞に載らない学説なので、一般の人にはなかなか理解が得られず苦い経験が続きました。やっと昭和 61年にNHKがプレート説での「地球大紀行」を12 回にわたり放送しました。その後はどんどんプレート説が広がり、私も博物館講座や生きがい大学などにこの説で地球の運動を説明した番組を使わせてもらいました。やっと大学での知識が役立つ時代になりました。

これからも注目してほしいコーナー
開館以来、約半世紀の間動いてきた「岩石の移りかわり」パネルは私にとっては思い出がたくさん詰まっている展示です。一部故障していましたので、最近修理を行ないました。元気な姿でもう少し頑張ってほしいと思っています。

タンネウシ7月号表面
タンネウシ7月号裏面


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