道路の歴史が語る地球の変化〜タンネウシコラム5月号

合地 信生

春分の日より数日前の、天に続く道の日没(2013年3月17日、村田良介さん撮影)

開拓当時の道路
江戸時代に正確な日本地図を作った伊能忠敬が磁石を用いて測量したように、北海道の開拓でも磁北を基準に東西南北に交差した道路を作りました。1900(明治33)年に作成された斜里町原野区分図を見ると、道路は左右上下-東西南北に引かれています。特に、斜里町の人気スポットの一つ「天に続く道」は分かりやすく、春分と秋分の頃は一直線に伸びた道路の西にあたる方向に太陽が沈み、感動的な風景になります。しかし、実は天に続く道は真西から南へ4度ほどズレており、道路の延長線上に太陽が沈む日は、春分では数日早く、秋分では数日遅くなります。では、なぜ正確に測量して作られた道路が、わずかに南にズレているのでしょうか。

真北と磁北
方角を示す場合、地軸の方向を基準にする場合(真北)と磁石の方向を基準にする場合(磁北)の2つの方法があります。前者(真北)は太陽や星の動きから求めたもので、後者(磁北)は地球が大きな磁石になっていることを利用したものです。天に続く道は、このうち磁北を基準にして作られているため、太陽や星の動きによる真北とはズレが生じているということです。この真北とのずれを「偏角」と呼び、斜里では現在約9度西にずれています。天に続く道と同じ頃に作られた道路は、札幌では5.5度西に、北見では4.5度西にズレています。このように偏角は一定ではなく、地域によってわずかに異なります。

磁北の移動
斜里での偏角は1900年頃が4度で、現在は9度ですので、120年間に5度も変化しています。この地磁気の変化は、地球の活動と深く関係しており、地球の深い場所での液体状の金属が対流していることで磁場が生じています。また、この対流が弱くなると磁場の方向が動き、最後には地球の南北が入れ替わります。この地磁気逆転現象を世界で初めて発見したのは日本の地質学者の松山基範で、兵庫県玄武洞の残留磁気から1929年に見つけました。
最近の逆転現象は77万年前に起こり、チバニアン(地磁気逆転期地層)として注目されています。
天に続く道は、開拓時代の測量方法と、地球が今も変化していることを教えてくれます。

タンネウシ5月号(表面)
タンネウシ5月号(裏面)

横山

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